2025鈴鹿8耐レースレポート
2025鈴鹿8耐レースレポート
BAKUON!!RPT NAGANO&RT MATSUNAGA






2025 Race Report
&
2025 FIM 世界耐久選手権 第3戦
“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会
会場:三重県 鈴鹿サーキット 国際レーシングコース(1 周 5.821km)
日時:7月30日(水)テストセッション、受付 天候:晴れ
7月31日(木)公式車検 天候:晴れ
8月1日(金)フリー走行、公式予選、ナイトセッション 天候:晴れ
8月2日(土)フリー走行、トップ10トライアル 天候:晴れ
8月3日(日)決勝11:30-19:30 天候:晴れ
観客動員数:8月1日~3日まで延べ6万1,500人(前年度比5,500人増)
チーム名:#711 BAKUON!! RPT NAGANO&RT MATSUNAGA
ライダー: BLUE 櫻山茂昇
YELLOW 伊藤勇樹
RED 松岡玲
マシン:YAMAHA YZF-R1
■決勝結果■総合順位 22位
EWCクラス 16位
2026年鈴鹿8耐第47回大会出場シード権獲得
EWCクラスポイント 5P獲得
EWC世界ランキング (8月4日時点) 28位
YAMAHAメーカー内(ワークス含む) 5位
■予選結果■30位/55チーム(Avg. Best Lap 02:08.470、Best 02:08.389松岡選手)
周回数204周 トップとの差13周 スティント数9回 ピット滞在時間19:24.124
(Race Best Lap 02:10.448 松岡選手)
日頃よりRPT(Racing Project Team)長野にご支援、ご声援をいただきまして、誠にありがとうございます。おかげ様で今シーズンもオートバイの活性化をコンセプトに、長野県から世界へ発信を目指し、RPT長野の活動を継続することが出来ました。チームの最大目標である「鈴鹿8耐」では、人気漫画『ばくおん!!~天野恩紗のニコイチ繁盛記~』様とコラボが実現し、注目を浴びました。昨年に引き続き、鈴鹿を拠点に活動されている『Teamマツナガ』様の協力をいただき鈴鹿8耐に参戦しました。
■ライダーコメント■

◆Rider BLUE 櫻山茂昇選手
今回の鈴鹿8耐は、頼もしいライダーを迎えられた為、自分の役割はサポートに徹して、とにかくペースを落とさない事に専念しました。そのため、自分の走行時間を削り、伊藤選手、松岡選手に優先的に走って貰い、自分はそのセットに合わせて走れるようにしました。走行中は、例年以上の暑さに苦しみましたが、ペースを何とか維持し、無事に次のライダーへ、バトンを渡す事が出来ました。また、多くのご声援もいただき、辛い時の励みになりました。心より、感謝申し上げます。
◆Rider YELLOW 伊藤勇樹選手
今年の鈴鹿8耐は、今までにないほど気温が高く、非常に過酷な状況でした。スタートライダーを担当させていただき、プレッシャーもありましたが、チームが素晴らしいバイクを、作り上げてくれたおかげで大きくポジションを上げ、松岡選手へ渡せたのがよかったです。
また、櫻山選手の力走にも助けられ14位から上位を狙っていたところ他車との接触によりクラッチレバーの破損。修復を余儀なくされ、これもレースなんだと痛感させられました。それでも諦めずにゴールを目指し、完走を果たせました。現状でのEWCクラス16位は誇れる結果と思っております。これも応援して下っている皆様のおかげです。本当にありがとうございました。今後ともチーム長野を応援して頂けると幸いです。
◆Rider RED 松岡玲選手
私にとって初めての鈴鹿8耐が無事に終了しました。想像以上に過酷なレースでした。チームとは途中からの合流という形でしたが、決勝に向けてチームの皆さんと力を合わせて準備を進めてきました。決勝は22位と悔しい結果に終わりましたが、中盤には14位まで順位を上げることができ、上位を狙える力があることを示せたと思います。これもチームの皆さん、スポンサー様、応援して下さったすべての方々のご支援、ご協力のお陰です。沢山の応援、本当にありがとうございました。
■RPT長野 ゼネラルマネージャー 持塚一馬コメント■
先ず始めに多くの協賛企業様、個人スポンサー様に恵まれ、鈴鹿8耐を戦い抜く事が出来ましたことを、厚く御礼申し上げます。また、スタッフのハードワークにも心から感謝したいと思います。
今年は新生チーム長野での初挑戦でもありましたが、皆様のお陰で様々な困難を乗り越える事が出来ました。統括責任者としまして特に結果にフォーカスするために従事させて頂きました。その為、ライダーや運営にも多くの要求を致しました。予期せぬトラブルもあり、最終的には目標であった15位には届きませんでしたが、周囲からは「無理だ!」と言われていたその目標に、十分挑戦出来るパフォーマンスを、示すことが出来たのではないかと振り返ります。これからのレースも、サーキットは勿論、レース以外でも話題を皆様にお届け出来れば幸いです。応援ありがとうございました。
■RPT長野 代表 櫻山茂昇コメント■
いつもRPT長野にご支援、ご声援をいただきまして、誠にありがとうございます。多くの皆様のお力添えをいただき、今年も鈴鹿8耐に挑戦出来ました事に、厚く御礼を申し上げます。
チーム結成後、5回目の挑戦となる今大会では、上位進出を目標に掲げ、急ピッチで準備を進めてきました。鈴鹿8耐の約1か月前には、人気漫画『ばくおん!!~天野恩紗のニコイチ繁盛記~』様とのコラボが実現し、皆様に嬉しいニュースを、お届けする事が出来ました。迎えた決勝レースは、目標を上回る14位にポジションアップする事に成功し、歓喜に沸きました。更に上位を目指そうとした矢先に、レースアクシデントに見舞われ順位を落としましたが、誰一人諦める事なくゴールを目指した結果、EWCクラス16位でゴールし、来年の鈴鹿8耐のシード権も獲得することが出来ました。また、本番直前にはエンジントラブルが発生し、危機的な場面もありましたが、ご協賛企業様や、多くの個人サポーター様にご支援いただき、チーム一丸となって乗り切ることが出来ました。この記憶と、記録に残る結果は、いつもご支援、ご声援をいただいております皆様のおかげ様です。心より感謝申し上げます。そして、他の生業をもちながらも、鈴鹿8耐上位進出の目標に向かって、昼夜問わず尽力してくれたスタッフにも感謝しています。
来年の鈴鹿8耐シード権も獲得出来た事から、更なる上位を目指し、チーム一丸となって精進して参りますので、引き続きRPT長野へ、より一層のご支援、ご声援をよろしくお願い申し上げます。
■■鈴鹿8耐ストーリー■■
○8月1日 公式予選
公式予選は決勝当日のスターティンググリッドを決めるために行われます。それぞれのライダーが各2回のセッションでアタックをし、タイムが良かった上位2名のライダーの平均タイムによってグリッドが決められます。ライダーは各予選セッションにおいて、トップライダーの 110%以内という基準タイムをクリアしなければなりません。
◆Rider BLUE 櫻山選手 天候:晴れ
NEWタイヤは伊藤選手と松岡選手の為に温存し、USEDタイヤでのアタックをしました。本番を想定した落ちたグリップでもタイムを落とさず走れるように立ち上がり重視で丁寧に走ることで、予選1回目で今シーズンの自己ベストタイムとなる2分12秒921を出しました。

◆Rider YELLOW 伊藤選手 天候:晴れ
伊藤選手は2023年鈴鹿8耐SSTクラス優勝経験者としての実力や経験を活かし、チームを引っ張る走りを見せ、予選1回目では2分9秒011、予選2回目では2分8秒551を記録しました。

◆Rider RED 松岡選手 天候:晴れ
松岡選手は今大会が初めての8耐参戦でしたが、変に緊張することもなく落ち着いて周回を重ね、予選1回目では2分9秒581、2回目では2分8秒389をマークしました。

伊藤選手と松岡選手のそれぞれのベストタイムから算出された平均タイムは2分8秒470、スターティンググリッドは30番手となりました。
○8月3日 決勝
決勝当日は最高気温35.8度、湿度は90%という過酷な気象条件。コース上では熱気が揺らめき、陽炎が立ち上るほどの猛烈な暑さがライダーたちを容赦なく襲いました。今大会では暑さ対策ゆえに、サイティングラップを走行するライダーと決勝のスタートライダーは必ずしも同一でなくていいとの通達があったため、前者は櫻山選手に走行してもらい、第一走者の伊藤選手には可能な限り直前まで体力を温存してもらいました。
午前11時30分。火蓋が切られるや否や一斉にマシンへ駆け寄るライダーたち。唸るようなエンジン音を響かせて決勝が幕を開けました。スタートライダーの伊藤選手はライダー同士の距離が近く、最も危険と言われるスタートを難なくこなしました。走り出しこそ2分12〜13秒台で周回する様子が何度か見られましたが、徐々にコツを掴んだのか、後半に向かうにつれて少しずつペースを上げ、2分10秒後半〜2分11秒前半の非常に安定したタイムでラップを刻みました。序盤で一度32位まで後退したものの、着実に順位を上げていき、21周を終えて松岡選手にバトンを託す時点では24位に浮上していました。
第2スティントは松岡選手が走行しました。何度か行われた事前のテストセッションでは赤旗による中断が多々あったため、1スティントを丸々通したロングランはこれが初めてでした。交代直後は一度35位まで下がりますが2分11秒台で周回を重ね、24位まで上げました。後半になるつれ一周あたり2分12〜13秒とほんの少しだけペースを落とすものの、鈴鹿8耐初参戦とは思えない走りで周囲に食らい付き、24周して23位で次の走者へ交代します。
第3スティントでは再び伊藤選手が走行。スタートから2時間が経過、気温35度、路面温度は50度を越えていました。そんな過酷な状況下で熱中症になってしまいます。しかし、具合が悪いにも関わらず初めから最後まで2分12秒台をキープし、安定した走りを見せた伊藤選手。24周を走り、第3スティント終了時には23位から18位と、順位を5つも上げて次のライダーへ繋げます。

第4スティントを任されたのは今大会初走行となる櫻山選手。スタートから3時間が経過し、1日の中で最も気温が高い時間帯に臨みました。序盤は2分13秒台で周回を重ねていたものの、後半になるにつれ疲れが見え始め、2分15〜16秒台でラップを刻みます。順位は18位から20位へと少し落ちてしまいましたが、路面温度上昇によるタイヤのグリップ力低下で転倒するチームが相次ぐ中、無事故無転倒で15周走り切ってピットへ戻ってきました。
第5スティントは今大会2度目の走行となる松岡選手が担当しました。開始から4時間が経過し、レースも折り返し地点へ。ライダーは言わずもがな、観客・チームスタッフにも疲労が見え始めるなか、前半は2分11〜12秒台、後半は2分12〜13秒台と安定したペースで周回を重ねます。ヘルメットへ繋がる給水ホースの折れで走行中思うように水分補給が出来なかった状況下においても、松岡選手は最後までペースを崩さず、気迫あふれる走りで24周を完走。じわじわと順位を押し上げ、ついに20位から16位へ――まさに意地と根性の走りでした。
第6スティントは伊藤選手が走行しました。今大会3度目の走行です。既に1人でトータル2時間近く走行し疲労がピークに達している中、116周目でセクター3(コースを4つに分けたうち3番目の区間)のベストタイムを更新、48秒450を叩き出します。2分11〜12秒台の安定したペースで周回を重ね、16位で受け取ったバトンを今大会最高順位の14位へ押し上げました。想像以上の高順位にピット内は騒然とし、誰もがこのまま上手くいってほしい…と願った矢先、事件は起こりました。レースアクシデントにより、クラッチレバーが破損、及びマシントラブル発生。なんとか転倒は免れたものの、ピットインを余儀なくされました。メカニックは迅速かつ確実に作業を進めましたが、ここでおよそ15分のタイムロス。その間に順位は9つ下がってしまい25位に。24周走り、次のライダーへ託します。
第7スティントでは松岡選手がコースイン。今大会3度目、そして最後の走行となりました。日が暮れ始めて、少しずつ黄色く染めあげられる鈴鹿サーキット。2度の走行で蓄積された疲労と、いずれの走行においてもキャメルバッグやホースの不調により水分補給ができなかった影響に加え、強く差し込む西陽が体力を一層奪っていきます。そんな中143周目ではベストラップタイム2分10秒448、セクター(区間)1ベストタイム35秒722を記録。その4周後の147周目でセクター(区間)2ベストタイム21秒931をマークすると、149周目ではセクター(区間)4ベストタイムを23秒929で更新するなど、脅威の集中力を見せつけ、順位を25位から22位まで上げます。6時間経過直後の17時33分、レース残り2時間を切ったところでヘアピン付近において他チームのマシンが転倒。飛散したパーツの回収のために今大会初となるセーフティーカーが導入されました。約15分のセーフティーカーランの後にレースは再開され、27周走った松岡選手は次の走行者へバトンを渡しました。
第8スティントは今大会2回目、及び最後の走行となった櫻山選手が担いました。辺りは少しずつ暗くなり、グランドスタンドのメーカー応援席がそれぞれのテーマカラーで少しずつ埋まっていくと、いよいよ鈴鹿8耐名物のナイトセッションの始まりです。暗くなるにつれコース上のラインが見にくくなり、走行難易度がぐんと上がります。デグナー2でマシンが大きく傾き、転倒寸前の危機に見舞われた櫻山選手。膝で必死にバランスを取り、火花を散らすように膝当てが路面を削る中、驚異的な踏ん張りでマシンを立て直しました。自身の1度目の走行と比べるとややタイムは落ちているものの、大きくペースを崩すことなく16周を走り、22位から順位を落とすことなく最終のライダーへ繋ぎます。
最終、第9スティントは今大会4度目の走行となる伊藤選手が務めました。残り1時間を切った18時40分頃。ライダー交代して伊藤選手がコースインするや否や、1コーナーでクラッシュが発生。スポンジバリアの破損対応のため、2度目のセーフティーカーが導入されました。約10分間のセーフティーカーランで各チームの差がグッと縮まった後にレースが再開、最後まで激しいバトルが続きます。何度か2分15秒台で周回するラップも見られましたが、基本的には2分13秒台をキープして走行し続ける伊藤選手。4度目の走行とは思えないほど安定した走りを見せ、迎えた19時33分。204周目で無事にチェッカーを受けました。ピットへ帰ってきた伊藤選手はその場に倒れ込むと同時に、完走の喜びを噛み締めました。
伊藤選手に始まり伊藤選手で締めくくられた2025年鈴鹿8耐は、全55チーム中22位、EWCクラス36チーム中16位と、過去最高の記録を収めました。またこれによってEWCポイントを5ポイント獲得した我々は、EWC世界ランキング28位の世界ランカーチームとなり、来年開催される2026年鈴鹿8耐のシード権を獲得しました。
今大会は決勝レース10日前にメインカーのエンジントラブル、レース中のクラッチレバーの破損、といった様々なアクシデントに見舞われました。しかし、最後まで諦めることなく全員が全力でそれぞれの問題と向き合い、それらを乗り越え完走できたこと、総合22位・EWCクラス16位という過去最高の結果を残すことができたことを大変嬉しく、また心から誇りに思います。鈴鹿8耐にはご協賛企業様、個人スポンサー様、そしてチームスタッフといった多くの方々に支えられて参戦することができています。ご支援・ご声援いただきました全ての皆様に感謝するとともに、来年以降も引き続き世界の大舞台である鈴鹿8耐に挑戦しますので、今後ともご支援・ご声援を賜りますようお願い申し上げます。誠にありがとうございました。


合計4回のピットウォークは、『ばくおん!!~天野恩紗のニコイチ繁盛記~』や、長野県PRキャラクター『アルクマ』の人気もあり、注目を浴びて大盛況でした。



